食育について考える


映画『ブタがいた教室』が問いかける「いのちの授業」とは?
食育について考える


平成17年に食育基本法が施行されてから3年、外食産業界でも食育の推進に取り組む企業は増えてきた。子供たちの食に対する興味を喚起させ、健全な味覚の発達を促すための試み、日本の食文化を習得させようとする教育など、その中身は様々だ。しかし、具体的に何をするかについては、いまだに戸惑っている人は多いかもしれない。

そんな中、食育の一つのかたちとして、観る者に多くを考えさせてくれる映画が『ブタがいた教室』(前田哲監督)だ。

本作は、まだ食育という言葉もなかった1990年、大阪・豊能町立東能勢小学校において、黒田恭史先生と32人の生徒が、卒業までの2年半にわたってブタを飼育し、子供たちにブタを食べるか、食べないかを考えさせた実話を基に作られたフィクションだ。黒田氏の試みは、テレビのドキュメンタリー番組にもなり、93年のギャラクシー賞奨励賞を受賞するなど大きな反響を呼んだ。それを観て感銘を受けた前田哲監督がエンタテインメントの要素も取り入れつつ、映画化したのが本作だ。

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ストーリーはとてもシンプルだ。6年生の担任である星先生(妻夫木聡)は、食事の際、「いただきます」も言わなくなった子供たちに、食べることのありがたさ、命の尊さを教えたいという思いから、26人の生徒たちとともにクラスで豚を飼育する。そして1年後、そのブタを食べるか、食べないかをみんなで決めようというのだ。そして卒業の時期が迫り、子供たちが出した結論とは……。

映画の最大の見どころは、卒業を3日後に控えた子供たちが「ブタを食べるか、食べないか」について激しい討論をするシーンだ。これには台本がなく、映画の中の子供たちの言葉は、セリフではなく本当の彼らの心からの言葉である。7台のカメラを使い一発勝負で撮影したこのディベートシーンは臨場感たっぷりで、観ている側も「自分はこう思う」と討論に参加したくなるほど。おそらく、それが作り手の狙いでもあるのだろう。つまり「食べるか、食べないか」の結論を出すことが重要なのではなく、食べるということはどういうことなのかを、観る者一人ひとりに問いかけ、考えさせてくれるのだ。

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ところで、実際にブタを育てた当時の生徒たちは、映画とは異なる結論を出している。それについては、この授業を行った黒田恭史氏によって書かれた『豚のPちゃんと32人の小学生-命の授業900日-』(ミネルヴァ書房)に詳しく書かれている。参考書籍として、黒田氏がこの授業を始めるにあたって影響を受けた教育者・鳥山敏子氏の『いのちに触れる 生と死の授業』(著、太郎次郎社)も、興味のある方にはぜひ一読をおすすめしたい。

食育といっても何から始めればいいのか分からないと戸惑っている方がいたら、まず、この映画を誰かと一緒に観に行って、鑑賞後にお互いの意見を交換してみるのはいかがだろうか。

映画『ブタがいた教室』のホームページはこちら
シネ・リーブル池袋、新宿武蔵野館ほか全国で11月1日よりロードショー公開
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by madame-f | 2008-11-05 05:22 | お薦め | Trackback | Comments(0)

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