2008年 11月 05日
食育について考える
映画『ブタがいた教室』が問いかける「いのちの授業」とは?
食育について考える
平成17年に食育基本法が施行されてから3年、外食産業界でも食育の推進に取り組む企業は増えてきた。子供たちの食に対する興味を喚起させ、健全な味覚の発達を促すための試み、日本の食文化を習得させようとする教育など、その中身は様々だ。しかし、具体的に何をするかについては、いまだに戸惑っている人は多いかもしれない。
そんな中、食育の一つのかたちとして、観る者に多くを考えさせてくれる映画が『ブタがいた教室』(前田哲監督)だ。
本作は、まだ食育という言葉もなかった1990年、大阪・豊能町立東能勢小学校において、黒田恭史先生と32人の生徒が、卒業までの2年半にわたってブタを飼育し、子供たちにブタを食べるか、食べないかを考えさせた実話を基に作られたフィクションだ。黒田氏の試みは、テレビのドキュメンタリー番組にもなり、93年のギャラクシー賞奨励賞を受賞するなど大きな反響を呼んだ。それを観て感銘を受けた前田哲監督がエンタテインメントの要素も取り入れつつ、映画化したのが本作だ。
映画の最大の見どころは、卒業を3日後に控えた子供たちが「ブタを食べるか、食べないか」について激しい討論をするシーンだ。これには台本がなく、映画の中の子供たちの言葉は、セリフではなく本当の彼らの心からの言葉である。7台のカメラを使い一発勝負で撮影したこのディベートシーンは臨場感たっぷりで、観ている側も「自分はこう思う」と討論に参加したくなるほど。おそらく、それが作り手の狙いでもあるのだろう。つまり「食べるか、食べないか」の結論を出すことが重要なのではなく、食べるということはどういうことなのかを、観る者一人ひとりに問いかけ、考えさせてくれるのだ。
食育といっても何から始めればいいのか分からないと戸惑っている方がいたら、まず、この映画を誰かと一緒に観に行って、鑑賞後にお互いの意見を交換してみるのはいかがだろうか。
映画『ブタがいた教室』のホームページはこちら
シネ・リーブル池袋、新宿武蔵野館ほか全国で11月1日よりロードショー公開
by madame-f
| 2008-11-05 05:22
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